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瀬戸内国際芸術祭2013で建築をつくる(石井大五+フューチャースケープ)


by 石井大五+フューチャースケープ建築設計事務所

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カテゴリ:トイレの家 作品紹介( 11 )

トイレの家 architectur technikでの紹介

「トイレの家」を、スイスの雑誌architectur technikに掲載していただきました。掲載から少し時間が経ちましたが、雑誌が送られて来ました。建築の源泉となった伊吹島について、こちらで提供した情報以上に、編集者が独自でいろいろ調べて書いて下さった部分もあり、ちょっと驚きました。ありがとうございます。

http://www.architektur-technik.ch/
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記事の翻訳は下記となります。

中心としての周縁

トイレとどう向き合うかということは、いつも文化的、歴史的次元に属している。日本の建築家、石井大五+フューチャースケープ建築設計事務所の設計し、日本の離島の校庭に立つ「トイレの家」は、それを一歩先に進めた作品である。

建築言語として表わされた伊吹島の課題とは、周縁と中心に関するものであり、瀬戸内海における文化的、地理的重要性だった。

3年毎に、瀬戸内海の12の島で開かれる瀬戸内国際芸術の他の多くの作品同様、小さな島、伊吹島にある石井大五による「トイレの家」は、会期期間外も、来訪が可能である。だから、周縁として扱われ、今は、重要度が低くなった、約1キロ四方の島を地図で見付けることは簡単かもしれない。伊吹島は、瀬戸内海が育んだかたくちいわしを漁獲し、加工したいりこの生産量では日本一の島である。そして、歴史を辿れば、江戸時代(1603-1868)には、船便が寄港し、当時の大きな都市(広島や神戸)と直接結ばれていた場所でもある。

だから、石井大五にとって、ここは、周縁の場所では決してなかった。そして、「トイレの家」に、中心であることを定義する軸と座標を交差させたのだった。校庭に立つ「トイレの家」は、一義的には建築であり、同時に、周縁と中心、大都市と地方、ローカリティーとグローバリゼーションの間の緊張関係を変容して表現したものでもある。

ローカルとグローバルとの関係は、トイレの家の形をつくるに際しての基礎であり出発点であった。トイレの家の内部の路地や素材は、島の集落の景観からもたらされている。この島では、民家のトイレは、いつも、母屋の外に、離れとして置かれ、例外なしに、切妻屋根が掛けられている。そして、雨水を、水槽に溜めている。建築家は、このトイレで、中心としての家と、周縁としてのトイレを融合させている。トイレの家は、そういう風に、島にたくさんあるトイレの離れのタイポロジーに基づいてつくられたものだ。
内部の路地の、迷路ような折れ曲がったレイアウトは、島の狭い路地に基づいており、女性用、男性用、障害者用トイレへのアクセスとして機能する。非対称の平面計画は、恣意的に選ばれたものではない。6つの世界的な都市(東京、ロンドン、ナイロビ、ニューヨーク、サンパウロ、シドニー)の地理的な座標を反映した結果である。建物を包む素材は、島での事前調査に基づいている。島のファサードの典型的な素材である黒い焼き杉は、路地の内側に入り込み、室内まで使われている。屋根と壁の光の明暗は、また別の体系に従っており、それは、1年の中の5つの特別な日(夏至、冬至、3つの島の行事の日)の朝9時の太陽方位に合わせたものである。参照とした枠組みが複雑に重なり合っているにもかかわらず、あるいは、重なり合っているからと言うべきか、トイレの家は、密度においても、規模においても、静かな村の雰囲気や地政学的な条件を映し出している。

今、ここで、トイレに関する驚くべき試みが始まったのではないか、と考えてしまうのは、当然のことと言えば、当然である。


注:江戸時代の船の航路は、広島や神戸ではなく、大阪ー大分です。編集者の調べた出典の間違いによるものではないか、と思います。
by future-scape | 2015-12-17 17:16 | トイレの家 作品紹介

トイレの家 Modulorでの紹介

「トイレの家」が、スイスの建築雑誌「Modulor」に掲載されました。

www.modulor.ch
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写真とともに掲載された、編集者による記事を翻訳しました。下記となります。

「スタイリッシュな小さなトイレ」

伊吹島に立つトイレの家の第一印象は、細かいピースに切り分けられたケーキのように見える。しかし、その劇的な形には、わくわくするような物語が隠されている。かつて(江戸時代)、島は、今よりははるかに高い知名度があった。しかし、現在、その名残も消え、地域の中心は四国本土に移り、文字通り、周縁に位置する島となった。同じことがトイレにも当てはまる。島のトイレは、母屋には置かれず、そこから離れて立っている。石井大五+フューチャースケープ建築設計事務所は、島にトイレをつくるにあたり、トイレの家を通して、島を中心に引き戻そうとした。この試みは、建物の中を通って行く特別なスリットによって実現されている。一部は、世界を代表する6都市、東京、ロンドン、ナイロビ、ニューヨーク、サンパウロ、シドニーに向かうルートに合わせ、残りは、夏至、冬至、そして、3つの島民の祭の日の午前9時の光の方向を示している。それらは、幾何学的な形の上に、すばらしい光の効果をもたらしている。デザインに際し、島の伝統的な建築ボキャブラリーに合わせ、建築家は、茶色を外壁に選んだ。

by future-scape | 2015-01-10 21:51 | トイレの家 作品紹介

トイレの家 designboomでの紹介

現代建築の国際的なウェブサイト「designboom」で、「トイレの家」を紹介していただきました。ご覧いただければ、幸いです。「designboom」は世界的に著名な現代建築に関するサイトです。

http://www.designboom.com/architecture/house-of-toilet-daigo-ishii-future-scape-architects-10-03-2014/
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記事の翻訳は下記となります。

「石井大五+フューチャースケープ建築設計事務所は、スライスされたトイレの家を指向する」

日本の伊吹島という小さな島の旧校庭に公衆トイレをデザインするにあたり、石井大五+フューチャースケープ建築設計事務所は、島の典型的な切妻屋根の形をした建物を、見掛け上は、ランダムに配されたベクトルでスライスすることで、構造壁とスリットの窓を出現させた。このプロジェクトは、一般的に避けられている建築タイプに祝福を与え、世界の中で建物を位置づけ、時間の上で定位させている。特に、ばらばらな角度の幾何学は、特別な世界都市(東京、ロンドン、ナイロビ、ニューヨーク、サンパウロ、シドニー)へ旅する方角と、地元のお祭りと夏至、冬至の日の午前9時の太陽方位によって、もたらされている。

切妻の建物は、不規則に配置された、そういうスリットの窓や通路によって、スライスされている。

トイレの家は、瀬戸内国際芸術祭2013の作品の一つとして完成した。建築を体験する人々の中に新しい意識をつくり出すために、ローカルな環境の質を反映する一方で、同時に、世界に関する事象を参照している。

図面のオレンジの線は、さまざまな都市への経路を示す一方で、緑色の線は太陽方位を参照している。外壁の茶色は、民家の色調に基づく。トイレにアクセスするために、路地のような空白が、建物のボリュームを通り抜けて行く。路地の表面は、波板のポリカーボネート板で仕上げられる。内部は、暗い仕上と輝くスリットの窓との間で、くっきりとしたコントラストを描き、スライスされた幾何学が、洗面所のカウンターの上部にも広がって行く。

by future-scape | 2014-12-01 22:55 | トイレの家 作品紹介

トイレの家 archdailyでの紹介

国際的な現代建築のウェブサイト「archdaily」にて、「トイレの家」が紹介されました。ご覧いただければ、幸いです。

http://www.archdaily.com/454420/house-of-toilet-daigo-ishii-future-scape-architects/
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by future-scape | 2014-08-10 23:09 | トイレの家 作品紹介

トイレの家 Edition 29 Architecture Notes 003での紹介

「トイレの家」が、アメリカのiPad専用のデジタルマガジン「Edition 29 Architecture Notes 003」に掲載されました。写真、こちらで書いた解説文の他に、音声インタビューも入っています。iPadのみから購読可能ですが、ご覧いただければ、幸いです。

「Edition 29 Architecture Notes」は、新しい建築だけでなく、モダニズムの建築なども回顧的に紹介しているデジタルマガジンで、本号の特集は、20世紀前半から半ばに掛けて活躍したサーリネン父子の特集です。編集者によれば、全世界で25万部購読されているそうです。

http://www.edition29.com/e29archnotes/003.html
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音声インタビューの翻訳は、下記となります。

インタビュアー「課題は何でしたか?施主は、どのようなことを望んでいましたか?」

石井「この建物は、瀬戸内海の伊吹島に立っています。島には、港を除いて、公衆トイレはありませんでした。特に、昨夏、島は、瀬戸内国際芸術祭2013の会場の一つとなりました。そのため、たくさんの客が島にやって来ることが予想されました。新たな公衆トイレの必要性が高まり、同時に、その公衆トイレが、瀬戸内国際芸術祭の作品の一つになることが決定されました。つまり、単なるトイレの機能を満足するだけでなく、アート作品であることも求められました。」

インタビュアー「この建物がつくられた場所、敷地はどんなところですか?」

石井「伊吹島は、今は、1日4便の船で本土とつながっている離島です。まさに、日本の周縁にあたる場所です。しかし、かつては、島は当時の都のあった上方と船でつながり、流行の品物も、そこから即座に運ばれて来ました。そして、その頃の名残として、日本で唯一、当時の京言葉が、今も使われている場所です。そういう意味では、かつては、島は、瀬戸内海の中心の一つだったのです。現在、他の瀬戸内の島々と比べて、特産品のいりこ(Japanese Dried anchovy)の生産により伊吹島の経済は、恵まれています。いりこは、日本人の食にとって大事な材料であり、この島のいりこは、日本で最も品質の高いものであり、高値で取引されます。一方で、離島ということで、人口流出や公共施設の撤退も発生しています。その意味からも、島は、瀬戸内国際芸術祭2013に期待していました。」

インタビュアー「この建物の核となるデザインの内容は、どんなものですか?」

石井「一つ目として、島を訪れた際、トイレが、母屋から切り離された小さな離れに置かれていることに気づきました。島では、トイレは、母屋からはじかれた周縁的な場所だったのです。母屋とトイレの間の関係は、本土と離島の関係に似て見えました。だから、トイレの家で、周縁的な場所であるトイレを、島の中心に変え、周縁となった島に力を与えたいと考えました。トイレが集まって、家の形をつくるとき、トイレの家は、島の核としての力を手に入れるでしょう。
次に、11本の光のスリットです。5本のスリットは、3つの伝統的なお祭りの開かれる日と夏至・冬至の午前9時の太陽方位に合わせています。これは、島の風土のアイデンティティーを明らかにする仕掛けです。残りの6本のスリットは、島から6大陸州の6つの大都市に向かう方向を示しています。その大都市は、東京、ロンドン、ナイロビ、ニューヨーク、サンパウロそしてシドニーとなります。
今、島民は、自分たちが世界の端っこに住んでいると感じています。その島民の意識を、彼らが世界の中心であると示すことで、変えたかったのです。6本のスリットは、世界とのつながりを示すと同時に、6つの軸が交差する場所が、伊吹島の位置を示す座標となり、この場所のローカリティーそのものともなっています。」

インタビュアー「場所はデザインに影響を与えましたか?もしそうであるなら、その理由を教えてください。」

石井「はいそうです。この建築は、島の風土を反映しています。屋根の勾配は、民家の勾配に合わせています。外壁の色は、民家の色彩調査に基づいています。路地の仕上は、島の典型的な仕上である焼き杉をモチーフにしています。トイレの家の2つの建物の間は、小さな路地になっていますが、それは、瀬戸内海でも最大と思われる島の路地のネットワークを模したものです。大便器ブースの天井の開口部からは、雨や自然光が室内落ちて来ます。各ブースのサイズは大きく、雨が降っても、使用には支障がありません。この開口部は、雨水を集めていた島の天水井戸を映し出したものです。この島では、30年前まで、水が不足しており、雨水を島民が利用していました。この雨を通す開口部は、天水井戸の水のイメージとつながって行きます。」

インタビュアー「建物に使われた主な素材は何ですか?」

石井「構造は木造です。形が複雑なので、3D加工機械により、材を切断加工しています。仕上に関しては、外壁は、構造用合板を貼り、FRP防水で仕上げています。路地と室内の壁は、構造用合板を黒の浸透性塗料で仕上、島の典型的な仕上である焼き杉のイメージに近づけようとしました。」

インタビュアー「何か、他にプロジェクトについて付け加えたいことがありましたら、どうぞ。」

石井「プレゼンテーションのために島を訪れた際に、島の持つ先進的な空気に驚きました。説明会の出席者の大半は高齢者だったのに、彼らは、この作品を見て、とてもおもしろいと言ったのです。島を訪れる前に、僕は、島民から、こんな作品は理解できない、と言われるのではないか、と思っていました。その予想は見事に外れた訳です。かつて、島は、瀬戸内の中心の一つでした。今もなお、そのころの雰囲気が残っているように感じます。それも、また、この島のローカリティーなのです。以上です。」

インタビュアー「どうもありがとうございました。」

石井「どうもありがとうございました。是非、伊吹島にお出でください。」

by future-scape | 2014-06-20 00:19 | トイレの家 作品紹介

トイレの家 Architizerでの紹介

「トイレの家」を、建築ウェブサイト「Architizer」が記事にして、紹介してくださいました。
「Architizer」は、世界的な建築のウェブサイトです。
ご覧いただければ、幸いです。

離島で、日本人さえ、訪れるのが難しい場所ですが、こうやって、外国の方から関心を持っていただけるのは、嬉しいものです。

http://architizer.com/blog/house-of-toilet/
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記事の翻訳は下記となります。

「美とともに流れる:日本のデザイナーズトイレ」

公衆トイレと聞いたとき、どんなものを想像するだろうか?最低限のコストで選ばれたオフホワイトのタイル、乾くことのないように見えるじめじめした床、消臭剤の何とも言いがたい臭い、あるいは、スターリン時代のようなごわごわした紙だろうか。こういう言葉に、いかにも気分のよくないイメージが浮かぶとしても、ほとんどの人は、公衆トイレが、そんな感じの場所であることに異論はないだろう。そして、すばらしいデザインと無縁なことについても。しかしながら、石井大五+フューチャースケープ建築設計事務所が、日本にある伊吹島のトイレの設計を任されたとき、彼らは、好意的に見られることの少ないカテゴリーの建築が、コミュニティーを活性化するものになると想像した。

離島に立つ建築に対して、役所は、観光客の注目を引くような新しさを求めた。トイレの家における、これまでなかったような石井大五のデザインは、回りに立つ典型的な勾配屋根の民家にそろえて、単純につくった建築の中に、6つのスリットを持ったプランを重ねるものだった。建築がコンパスとなり、それぞれのスリットは、南極を除く、各大陸の大都市の方角を示し、島と残りの世界とのつながりを形にしている。

さらに、石井は、大袈裟な言い方ではなく、宇宙の中に、トイレの存在を位置づけようとしている。スリットの一部は、3つの伝統的な祭と夏至、冬至の日の午前9時の太陽の方位に合わせており、建物の中に光が入り、室内を照らし出すように注意深く計算されている。

建物のために選ばれた材料は、島の風土と密接な関係を築いている。黒い焼き杉に合わせた板は、来訪者に島の風土を意識させるように、民家の色やテクスチャーと響き合う。

一連の路地は、それぞれがトイレとなる小さな「家」に、建物を分割する。建物と島の風土の文脈を溶け合わすように、路地の壁を覆うポリカーボネート板の表面に、島の風景が映し出される。球形の開口部は、施設のための雨水を集めるための仕掛けとなり、また、建物の中に空が入り込むことを可能にしている。明確な方位の決定、注意深い素材の選択、そして場所に対する意識により、トイレの家は、用を足す場所をはるかに超えたものとなっている。


注:雨水を施設のために利用する仕掛けは備えておりません。編集者の勘違いによるものです。
by future-scape | 2014-04-11 22:38 | トイレの家 作品紹介

トイレの家 AEC Cafeでの紹介

国際的な建築ウェブサイト「AEC Cafe」で、「トイレの家」が紹介されました。
ご覧いただければ、幸いです。

http://www10.aeccafe.com/blogs/arch-showcase/2014/01/14/house-of-toilet-in-ibukijima-island-japan-by-daigo-ishii-future-scape-archtiects/
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by future-scape | 2014-02-10 23:30 | トイレの家 作品紹介

トイレの家 新建築2013年9月号での掲載

「トイレの家」が、「新建築2013年9月号」に掲載されました。瀬戸内国際芸術祭2013でつくられた他の建築も一緒に紹介されています。ご覧いただければ、幸いです。

http://www.japan-architect.co.jp/jp/backnumber/book.php?book_cd=101309
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by future-scape | 2013-09-18 13:12 | トイレの家 作品紹介

トイレの家 完成とご紹介

ようやく完成いたしました。

その写真と作品の解説をご紹介いたします。
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周縁から中心へ 
伊吹島の伝統的民家では、トイレは、大抵、母屋から分かれた離れの水屋に置かれています。伊吹島では、水屋は、家からはじかれ、仲間外れにされた、周縁の空間なのです。
その母屋と水屋の関係は、どこか、四国本島と伊吹島、あるいは、大都市と僻地の関係に似ています。
今、伊吹島は、観音寺からの定期船で、本土とつながるだけで、小さな離島は、四国の、そして、日本の周縁となっています。
しかし、遡れば、伊吹島は、上方と船で直接つながり、上方の流行もすぐに来る場所であり、その頃の名残で、古い京言葉が残っています。かつては、自立した小さな中心だったのです。
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この「トイレの家」では、周縁だった空間を伊吹島の中心に変え、周縁となった伊吹島に強度を持たせようとしています。いつも母屋からはじかれ、家に入れてもらえないトイレが、一つに集まり、寄り添って、家の形をまとうと、核としての力を持ち始めます。
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ローカリティー/インターナショナリティー
その家に、伊吹島固有の時間と、伊吹島を中心とした世界のつながりを重ね合わせました。
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伊吹島の伝統的行事「島四国の日(旧暦3月21日)」「夏祭り(港祭り)の日(7月15日)」「秋祭り(ちょうさ)の日(10月1日)」そして、夏至と冬至の日の午前9時の太陽方位に合わせて、建築の中をスリットが通り抜けます。年に1回、その時間に、建築の中を一筋の光が通り、島民に、季節の訪れを知らせます。伊吹島のアイデンティティーを浮かび上がらせる仕掛けです。
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一方、伊吹島から世界の6大陸州の主要都市(東京、ロンドン、ナイロビ、ニューヨーク、サンパウロ、シドニー)へ、最短距離で向かう光の線も、建築の中を抜けています。世界とのつながりを意識することで、かつての伊吹島の矜持を取り戻してほしい、と考えました。

伊吹島のアイデンティティー(ローカリティー)と世界とのつながり(インターナショナリティー)を重ねてみると、ニューヨークの方向に、島の午後2時の光が重なり、ローカリティーの延長にインターナショナリティーが見えてきます。

そして、この6つの角度の軸が交差する点は、伊吹島の位置を示す座標であり、世界とのつながりは、実は、ローカリティーそのものでもあるのです。
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島の景観とのつながり
外観は、この島のふつうの民家に近いつくりです。唐突に、現代建築が舞い降りたような形にはせず、昔ながらの気配の残る島の景観を意識しています。
屋根の勾配を合わせ、外壁の色は、島の民家の色彩調査に基づいています。圧倒的に多い第1群ではなく、それに次ぐ第2群の色で仕上げたのは、景観と連帯しながら、違和感がない程度に自立した状態をつくりたかったためです。
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光のスリットで、3つの棟に分かれ、その間に生まれた路地は、迷路のような伊吹島の路地につながって行きます。
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路地の外壁や、洗面所の外壁は、この島に多い、焼き杉の外壁をモチーフにしていますが、まったく同じ訳ではなく、表面に風景を映し出すポリカ波板を重ねたりして、どこか引っ掛かるように、少しだけ違えています。
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そして、室内最奥の大便器ブースに行くと、屋根に大きな開口部が空いています。光や雨が室内に落ちますが、丁度、伊吹島の民家で、雨水を貯めるために地中に掘った井戸を、底から見上げた形となります。
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島民にとって当たり前でも、外から訪れると、伊吹島らしさとして、際立って見える路地や焼き杉、そして、雨水を貯める井戸。
それらを映し込んだ「トイレの家」で一休みしてから、島に歩き出した観光客には、伊吹島の風景が見えやすくなることを、そして、見慣れているため忘れている島民には、島らしさを、今一度、思い出していただく場所となることを願っています。

場所
https://maps.google.co.jp/maps?q=34.127368,133.53472&ll=34.127348,133.534731&spn=0.001874,0.003431&num=1&brcurrent=3,0x3551991706638a51:0xb75933a0f2d69082,0&t=m&z=19

交通
東京から岡山へ:新幹線「のぞみ」で約3時間10分、1時間あたり4、5本
岡山から観音寺(かんおんじ)へ:特急「しおかぜ」で約1時間、1時間あたり1本
観音寺駅から観音寺港へ:(芸術祭夏会期中)シャトルバスで10分、毎時15分、45分発
(平常時)コミュニティーバスで10分、伊吹島行きフェリーに合わせて運行
観音寺港から伊吹島真浦港へ:(芸術祭夏会期中)フェリーで25分、1日6便(0745、0945、1215、1430、1630、1800)
(平常時)フェリーで25分、1日4便(0750、1120、1540,1750)
真浦港からトイレの家へ:徒歩7、8分
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建築主   観音寺市(http://www.city.kanonji.kagawa.jp/

設計    石井大五+フューチャースケープ建築設計事務所(http://www.future-scape.co.jp/
 構造設計  匠設計
 設備設計  明野設備研究所(http://www.akenoken.co.jp/

施工    伊井工務店(http://iikoumu.com/
 木工事   みかわ工務店
 プレカット 三王ハウジング(http://www.sanno-jp.com/
 防水工事  ハマネツ(http://www.hamanetsu.co.jp/
 塗装工事  合田塗装
 電気工事  酒井電設
 設備工事  矢野設備

建築面積  50.91m2   延床面積  50.91m2
構造    ベタ基礎+木構造在来工法

外部仕上
 屋根   構造用合板+FRP防水 ハマネツモレーヌ工法
 外壁   構造用合板+FRP防水 ハマネツモレーヌ工法
 路地床  コンクリート金鏝粗摺り仕上

内部仕上
 床    コンクリート金鏝粗摺り仕上
 内壁   構造用合板 キシラデコールをOPで調色
 スリット見込面 構造用合板+FRP防水 ハマネツモレーヌ工法
 天井   構造用合板 キシラデコールをOPで調色
by future-scape | 2013-07-23 22:43 | トイレの家 作品紹介

「トイレの家」をご紹介します

瀬戸内国際芸術祭2013の伊吹島での会期は、7月20日から9月1日まで、8グループが参加します。
大岩オスカールさん、キム・テボンさん、関口恒男さん、豊福亮さん、みかんぐみさん、向井山朋子さん、ルナ・クリップさん、そして、僕です。
他の皆様の作品は、島で遭遇した際に、ご紹介したいと思いますが、まずは、僕の「トイレの家」から。芸術祭で島を訪れる方々のための公衆トイレで、恒久的な作品です。
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伊吹島の古い民家では、トイレは、大抵、母屋から分かれた水屋に置かれています。伊吹島では、水屋は、家にとっての周縁の空間なのです。
その話を聞いて感じたのは、母屋と水屋の関係は、どこか、四国本島と伊吹島、あるいは、大都市と離島の関係に似ているなということでした。
今、伊吹島は、観音寺からの船で本土とつながるだけとなり、四国、そして、日本にとっての周縁の場所となっています。しかし、遡れば、上方と船でつながり、上方の物資が行き交い、その頃の名残で、京言葉が残るほどの場所なのです。伊吹島は、かつては、周縁でなく、本土に依存しない、自立した小さな中心でした。
この「トイレの家」は、周縁だった空間を、伊吹島の中心に変え、そして、周縁となった伊吹島を世界の中心に変え、かつての記憶を取り戻そうというプロジェクトです。
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内部は、男性用トイレ、女性用+多目的トイレ、倉庫の3つの棟から成っています。いつも母屋からはじかれるトイレが、ここでは、一つに集まり、寄り添って、自分たちの家をつくります。
伊吹島の民家のように分棟ですが、集まって、一つの家型を描くと、周縁だった存在も、核としての力を持ち始めます。
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そこに、伊吹島固有の時間と、伊吹島を中心とした世界のつながりを重ね合わせました。

伊吹島の伝統的な行事である「島四国の日ー旧暦3月21日」、「夏祭りの日ー7月15日」、「秋祭りの日ー10月1日」、そして、「夏至」と「冬至」の日の「午前9時の太陽の方位」に合わせて、建築の中をスリットが通り抜けます。年に1回、その時間に、建築の中を一筋の光が通り、季節の訪れを知らせます。そうやって、伊吹島のアイデンティティーを浮かび上がらせるのです。

それとは別に、伊吹島から世界の6大陸州の主要都市、東京、ロンドン、ナイロビ、ニューヨーク、サンパウロ、シドニーに最短距離で向かう方向に、光の線が抜けて行きます。世界とのつながりを意識することで、かつて、上方とダイレクトにつながっていた伊吹島の矜持を取り戻すことを考えました。
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そうやって切り取られた3つの棟の間に、路地が生まれ、それは、丁度、集落の路地につながって行きます。そして、各大便器ブースには、屋根に大きな開口部が空いています。そこから、光や雨が室内に落ちて行きますが、それは、丁度、伊吹島の民家が、雨水を利用するために地中に掘った井戸を、底から見上げる形となります。水を介して、伊吹島の家々の記憶とつながっています。
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1月に急逝された伊吹島支所長、岩田さんに、昨年11月に初めてお会いした際、「ふつうに住民や来訪者が使いやすいだけのトイレでは困る。わざわざこの島に来なければ体験できないトイレをつくってほしい。」と言われました。保守的な細かい要望が出て来るのではないかと予想していたので、驚きましたが、これは、伊吹島が、かつて、上方とつながっていた時代の先進的な気風が、今も続いているのかもしれません。1月のプレゼの際に、喜んでいただいて、ほっとしました。岩田さんの思いにお応えするべく、他では体験できないトイレになるように、完成まで気合いを入れましょう。
by future-scape | 2013-04-20 00:05 | トイレの家 作品紹介