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瀬戸内国際芸術祭2013で建築をつくる(石井大五+フューチャースケープ)


by 石井大五+フューチャースケープ建築設計事務所

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伊吹島とはこんなところ 家の話ー焼き杉と舟板

   →伊吹島とはこんなところ

伊吹島の民家の壁の仕上で、いちばん見掛けるのが、焼き杉。
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瀬戸内だけでなく、海辺の村から山間の村まで、日本全国で見ることのできる伝統的な仕上です。
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本来は、杉板の表面を焼いて炭化させ、雨に対する耐久性を高めたものですが、伊吹島では、家によっては、焼き杉に見えるように、板を黒く塗装したものもあります。そして、改修の際に、更に手を抜いたのか、波板の鉄板を黒く塗装した家もありました。
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100軒ほど民家の外壁調査をした限りでは、50%ほどが、焼き杉、もしくは、焼き杉風に黒く塗装したものを使い、格が高くなると、そこに白漆喰の壁を組み合わせます。板の加工の仕方には、いろいろあっても、壁の黒い色が、つねに街並の中に繰り返し現れ、島の景観の地をつくって行きます。
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かなりの家で、焼き杉板を縦張りにして釘で下地に留めていますが、横張りを釘で留めたものもあれば、重ね張りした横板(下見板)に上から角材(押縁)を押し当てて、釘で留めたものもあります。張り方の共通性が緩く、いろいろなつくり方に寛容なのもまた、伊吹島らしいところ。
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その中で、あまり他所で見たことのないのが、縦張りの板を、三角形(角材を対角線で半分に割ったもの)の押縁で留めた工法。
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それほど多く残る訳ではありませんが、島でいちばん古いと言われる網元の屋敷に使われているのもこの工法です。角材を半割にするあたりは、木材の貴重な時代に、ふつう以上にそれらを手に入れるのが難しかった島で、コスト削減を図ったようにも見え、もしかたら、これこそが、より古い形式ではないか、とにらんでいるのですが、誰に聞いても分かりませんでした。
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測定してみると、焼き杉の板は幅20センチ、それを約60センチ間隔で横に流した三角形の押縁で留めています。縦の押縁ですと45センチ間隔がふつうですから、60センチという間隔は、一般的な寸法間隔より広く、その間延びした感じが、島らしいのどかな印象を与えます。

もう一つ特徴的な壁の仕上は、伊吹島というよりは、瀬戸内の漁村集落や、瀬戸内を超えて、舟と結びついた日本の津々浦々で見掛ける舟板仕上。
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おそらく舟に使うから杉というよりは松でしょうが、使用済みとなった舟の板を、壁に転用したものです。耐久性の問題から、舟に使う板は、家の外壁専用の板に比べ、はるかに厚い板厚が必要なため、舟に使うには、問題が生じたとしても、家に使う分には、十分な性能を確保しているのです。
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こちらも、焼き杉同様、その表面を焼いて、耐久性を高めていますし、湾曲した板を、水平の壁に打ち付けるに際しては、表面を削ってもいるでしょうが、それでも、測ってみると、薄いものでも30mm、厚いものになると、45mmぐらいの厚みを誇ります。
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リサイクルのシステムの機能していた時代の名残ですが、今は、船がFRPや金属製になったため、朽ち果てた舟板の更新は途絶え、残念ですが、ただ、風化に任せて行くしかないようです。
by future-scape | 2013-11-15 02:13 | 伊吹島 ご案内