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瀬戸内国際芸術祭2013で建築をつくる(石井大五+フューチャースケープ)


by 石井大五+フューチャースケープ建築設計事務所

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伊吹島とはこんなところ 瀬戸内国際芸術祭2016 アート巡り-3

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パート1と2に続いて、伊吹島でのアート作品の紹介です。 

旧小学校の中には、前回に引き続き、豊福亮さんの「沈まぬ船」が展示されています。2階の半分を大きく使ったインスタレーションです。
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島民と一緒に、1年近くを掛けたワークショップでつくった6万個もある浮きが、魚の群のように、室内を浮遊しています。大迫力です。
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昼間、校庭から建物を見上げると、逆光で、建物の中を魚の群が泳いで見えますし、夜間、芸術祭の準備中に入って見たときは、真っ暗な海の中を、魚とともに、本当にさまよっているような感覚になりました。芸術祭会期中に、一度ぐらい、ナイトツアーが行われればいいのに。
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1階には、コンタクト・ゴンゾさんの「伊吹島ドリフト伝説」。
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伊吹島の路地を取材したものを元に、島を一周するオートバイのレーシングゲームを仕立てました。制限時間内に島を一周すればクリアです。

ということで挑戦。
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先ず、オートバイに乗ったことがないので、アクセルやブレーキ、バックをハンドルで操作する感覚が掴めず、すぐに家や壁に衝突してしまいます。それで行きつ戻りつしている上に、結構なスピードで、複雑に曲りくねった路地を走って行くので、眼が回って、気分が悪くなってしまいました。
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で、結局、制限時間前に、リタイアです。おもしろいけど、オートバイに慣れていない人には、少しハードルが高そうです。バイクマニアや、ゲーム付きの人には、最高の作品かもしれません。とは言え、連休3日間で、クリアした人は、5、6人という話だから、オートバイに乗ったことのある人にも、難度が高いようです。

チャレンジしたい方は、制限時間10分で、1台しかありませんから、早めに行って、列に並ぶのが、得策のようです。

旧小学校の最後の展示は、みかんぐみです。
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今回のメインは、集落の中にあるいりこ庵ですが、ここには、前回の芸術祭の時につくった伊吹島の1/300の模型や、島の小中学生と一緒に行ったワークショップによる作品が展示されています。

最後のワークショップはこんな感じでした。
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島の小中学校の美術の授業は、都会以上に先進的なことに驚きますが、それを受ける生徒の美術の腕もなかなかのものです。皆、1時限の授業で製作したそうです。是非、ご覧ください。
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そのみかんぐみのメイン展示は、旧小学校から島の中心を抜けて、少し坂を上がったところにあります。
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今回は、マニュエル・タルディッツさんが担当で、「いりこ庵」と名付けられた小さな建物を、島の人たちや学生とともにつくりました。
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聞けば、信じられないローコストでつくられていますが、シンプルで、無垢の木の目の美しい建築です。いりこの加工で使う網や、解体された島の家で使われていた瓦などを再利用して、つくられています。

露台のいちばん先に立つと、民家の屋根の先に、海と、対岸の四国本土の山々が見えます。
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島巡りの途中に、ちょっと休憩したり、お弁当を広げることのできる場所ができました。

そして、最後の建築は、フィリピンのアーティスト、アルフレド&イザベル・アキリザン(Alfred and Isabel Aquilizan)さんによる「Here, There, Everywhere」です。
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昔、保育園のあった場所に立てられています。島の林から切り出した竹、島のそこら中で見掛けるいりこ加工で使う網を組み合わせて、パラボラアンテナをつくりました。
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パラボラアンテナを支える竹には、島の家々の屋号を書いた、矢印のような板が取り付き、敷地の端の擁壁には、島の船の名前が風向計のように、さまざまな方向を向いています。
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代々引き継がれて来た家の屋号や船の名前に、島の記憶や時間を重ね、それらが支えるアンテナが、島の外の世界に向けて、伊吹島の今を発信するという構想ではないでしょうか。
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この製作、設置をした美術製作者と知り合いで、設置に関する相談を受けましたが、実は、この島は、掘ればすぐ岩盤が出るような場所なため、孔を掘ったり、基礎をつくること自体がたいへんな場所で、その上、このアキリザンさんの敷地までは、重機が入りません。

見た目、颯爽と立ち上がっていますが、意外と苦労しているんです。

それもまた、訪れた人に見える島の姿と、訪れた人からは見えない島の姿の明暗を示唆しているようにも見えました。
# by future-scape | 2016-10-14 04:12 | 瀬戸内国際芸術祭2016

伊吹島とはこんなところ 瀬戸内国際芸術祭2016 アート巡り-2

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パート1に引き続き、伊吹島のアート作品を巡ります。

メイン会場の旧小学校敷地で、先ず、目に入るのが、僕のつくった「トイレの家」です。
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初めて島を訪れたとき、島のトイレが、母屋から分かれた離れにあるのを見て、母屋と離れの関係が、四国本土と離島、大都市と僻地の関係に似てみました。今では、日本の周縁のように位置づけられた伊吹島を、トイレが象徴しているように見えた訳です。
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そのトイレを、島の中心のようにつくることで、伊吹島自体、そして、そこに暮らす島民に、自分自身が中心であることを思い出してもらいたい、と思いました。

建物の中には、11本の光のスリットが通っています。
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6本は、この島から、世界の6大陸の6都市へ向かう方向を示しています。つまり、伊吹島を中心として、世界が広がっている訳です。残りの5本は、島の伝統的な行事の開かれる日と夏至、冬至の日の、午前9時の太陽方位の方向を示しています。午前9時に、そのスリットを光が通るとき、島民は季節の訪れを知ることになります。

そうやって、空間と時間の上で、「トイレの家」を島の中心にしようとしました。
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その光のスリットで切り抜かれ、内部に路地が出現しています。これは、島の迷路のような路地に重なります。
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時刻によって、光の角度や、光の雰囲気が大きく変わります。いろいろな時刻に、訪れていただければ、幸いです。
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外壁の色は、島の民家の色彩調査から選んだものですし、内部の黒い色の仕上げは、島でよく見掛ける仕上材、焼き杉をモチーフにしています。
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そして、トイレの中に入って行くと、最後の奥の大便器ブースで、天井に開けられた開口部に遭遇します。
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これは、30年前まで水道の開通していなかった島で、生活を支えた、雨水を溜めるための天水井戸をモチーフにしています。いつもは上から見下ろしていた井戸を、底から見上げた形です。
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この開口部のおかげで、トイレにこもりがちな臭気や湿気も逃げて行きます。ブースは大きいので、台風のときでも、用を足すのに、影響はありませんし、砂利の下には、雨を拾うための排水溝が設けられています。

島のさまざまな風景や仕掛けが、こうやって建築の上に映し出されています。島を散策する前に、「トイレの家」に立ち寄ってから、島の散策を始めると、さっき見たのは、これだったのかと、島の風景を見付ける手がかりとなるようにつくりました。

時刻によっては、大便器ブースにハート型の影が落ちます。これを見ると、もしかしたら、幸せに恵まれるという噂があるような、ないような・・・。
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芸術祭の参加作品ではありませんが、設計し、最近完成した「島の消防署」が、「トイレの家」のすぐ近くにあります。
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敷地の一部が、切り取られて、宙に浮かんだような形です。遠くから見たとき、集落の中に点在する畑と馴染んで、建物の存在が目立たなくなるようにデザインしました。
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上部は、火の見櫓と展望台を兼ねています。集落と海の眺めがすばらしいので、是非、上がってください。昼寝がしやすいように、傾斜が付いています。土足厳禁ですが、雨の翌日は濡れていることもあるので、お気を付けあれ。
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芸術祭の最初の連休には、たくさんの方にお越しいただき、設計者冥利に尽きました。景色を眺める人、昼寝される人、お弁当を食べる人。そして、子供は、傾斜が好きなのか、とにかく走り回る子が多い。
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そして、日没も見事です。
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ただし、芸術祭の期間中は、万が一の事故のため、監視役の島民がいるときのみの限定公開となります。

休みの日には、ボランティアガイドの篠原幸喜さんに声を掛けていただければ、上がれるのではないか、と思います。篠原さんは、フェリーが港に到着するたびに、幟を立てて、お客さんをお待ちしています。

消防署の1階の大ガラスの奥には、この島でしか目にしないであろう2台のオート三輪の消防車が置かれています。路地が狭いので、ふつうの消防車は通れないところが多いのです。それをご覧になるのも、お忘れなく。
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# by future-scape | 2016-10-13 23:05 | 瀬戸内国際芸術祭2016

伊吹島とはこんなところ 瀬戸内国際芸術祭2016 アート巡り−1

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瀬戸内国際芸術祭2016が始まりました。最初の連休では、午前中のフェリーに、積み残しの客も出たそうです。

さて、初日からたくさんのお客様にお出でいただいている今年の伊吹島には、どんな作品があるのか、ご紹介いたします。

今回の伊吹島の作品が、他の島の作品と違うのは、大きなインスタレーションの他に、2人のアーティストの小さな作品が、島を巡るルート添いに点々と置かれており、それを追って行くと、島らしい風景を体験できるということです。

島を巡る作品の一人目は、キューバ出身のアーティスト、ウィルフレド・プリエト(Wilfred Prieto)さんです。港から坂を上ってすぐの場所から始まります。タイトルは、「伊吹の静けさ打つ水の音」です。
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島を散策した方は、気づくかもしれませんが、家の間に、ときどき、瓦の敷かれた空地があります。大抵は、以前建っていた住宅を撤去した跡なのですが、空地のまま土を露出しておくと、草ぼうぼうになり、白蟻の繁殖の原因になるので、それを防ぐために、瓦や農業用ネットなどを敷いているのです。
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家の消えた跡ですし、その処理の仕方も、見られることを意識したものでもありませんので、人によっては、ネガティブに見える風景かもしれませんが、プリエトさんは、それに着目して、まったく意味の違うものに変えてしまいました。
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ささやかな一本の花を植えているだけなのですが、茶人が、茶室に置いた一輪挿しのように、集落の空地が、集落の床の間に変容したかのようです。島のランドスケープや暮らしを浮かび上がらせます。その発想力に感心しました。
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坂を、最高点の民俗資料館近くまで上り、細い路地に分け入り、彼の作品を追って行くと、途中に、空家を利用した、もう一つの作品「Limit」が現れます。
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空家の室内に、大きな樹木を植えた鉢が置かれています
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梢は、天井に突き当たっています。会期中の1月の間に、少しずつ、天井に当たるその枝や葉が広がって行くのでしょう。
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そうやって、木は、天井に突き当たることで、木の成長を押さえ込むことになった建物の存在を、人の意識に上らせ、同時に、人の気配が消えてしまった室内に、新しい気配を与え、静止していた家の時間に、息を吹き込むのかもしれません。

小さな草花と大きな木、空地の屋外と空家の室内という対比は、お互いがお互いの反射像のような、ネガとポジの関係にも見えました。

島を巡る作品の二人目は、小林耕平さん。「ト・ラ・ン・ス・フォー・マー ー 島に成る」です。こちらも港から坂を上って行くと、道の両側に現れます。
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正直言うと、作品ごとに個別に題名があり、解説があるのですが、初めのうちは、哲学的というか、雲をつかむような話に、狐につままれた感じでした。
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例えば、「あなたは今どこを歩いていますか?」には、「先ほど食べたものをを近くで見る」と解説され、空地の中に、お茶碗が置かれています。一体、どういう意味?
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「島のフタを開く」には、「島の中に海があり、島の中に大気があり、島にとってのフタは海と大気の境界面である」と解説され、プラスチックケースが池に浮かんでおり、棒で、その蓋が開くようになっています。一体、どういう意味?
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そういうアートが、道の左右に現れ、何だろうかという問いの答えが見つからないまま、少しフラストレーションを抱え、民俗資料館まで上り切ると、館内でビデオが上映されています。
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そのビデオが、めちゃくちゃおもしろい!!。
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つくった作品を見ながら、アーティストと住民が、会話をするのですが、哲学的な問い掛けをするアーティストと、その哲学への誘い掛けに、戸惑いながらも、地に足が着いたような現実的な反応で返す住民。大笑いしてしまいました。

ここに到って、作品の真意がつかめたような気がしました。つまり、これは、島という存在に対する禅問答だったのです。禅問答を通して、修行僧が、真理や教えと一体になろうとするように、作品との対話を通して、島と一体化し、そうすることで悟りを開こうとしているのではないでしょうか。
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まあ、とにかく、沿道に設置された21の作品群を理解するためには、見学料を取るからと言って、民俗資料館に入ることをあきらめず、絶対に館内のビデオを観覧すること!!。

民族資料館の展示は、乱雑としていますが、島に関するすばらしい資料の宝庫です。それを見るためだけでも、見学料を払う価値はあります。
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この二人の作品は、そのルートの形状から、個人的には、「プリエト・ネックレス」と「小林ネックレス」と名付けたいですね。
# by future-scape | 2016-10-13 23:00 | 瀬戸内国際芸術祭2016

伊吹島とはこんなところ 瀬戸内国際芸術祭2016 オープニング

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瀬戸内交際芸術祭の秋会期が始まりました。雨という予報は外れ、夏のような晴天でした。
先ずは、観光客や開会式典への参加者を載せた昼に到着の船を島の小中学生が、旗振りをしてお出迎え。たくさんのお客様がお出でになりました。
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会場は、旧小学校の校庭です。
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12時半から始まった開会式では、白川観音寺市長や、島の自治会長、総合ディレクターの北川フラムさんなど、お歴々の挨拶が続きます。
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そして、アーティストの紹介と小学校の生徒からの花束贈呈。

代表者によるテープカットが終わると、小学生によるアトラクションが始まりました。
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島のテーマソング「宝物」の合唱とパフォーマンスです。大塚愛などのプロデュースをされている音楽プロデューサーで、観音寺市出身のイコマンこと生駒龍之介さんが、島の小学生と一緒につくった、ほんとうに素敵な曲です。

式典でうとうとしていた方々も、皆、急に、明るくなります。
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ダンスの途中には側転まで入る素晴らしいパフォーマンスで、出席者を魅了しました。

今日の影の主役は、小中学生でした。
# by future-scape | 2016-10-13 17:00 | 瀬戸内国際芸術祭2016

伊吹島とはこんなところ 瀬戸内国際芸術祭2016 ただいま準備中

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8日土曜日から始まる瀬戸内国際芸術祭の秋会期に向けて、伊吹島でも、皆、慌ただしく準備の最中。急に、島のそこら中で、人が動き出しました。

芸術祭の幟を立てる市役所の方。
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いたる所に幟が立ちます。
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食事を提供する店や屋台も、セッティングや仕込み、清掃に大忙し。
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手摺のペンキを塗り替える人。
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港には大漁旗が掲げられました。
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そして、商店では、いつもは中置きのお土産類が、今日から表に並ぶようになりました。
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僕も、参加作品の「トイレの家」の大掃除を一日掛けて行いました。清掃の終わった「トイレの家」では、芸術祭の公式の写真家が撮影中。
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さあ、後は、皆様のお出でを待つだけ。是非、お出でください。会期は、11月6日までです。
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# by future-scape | 2016-10-07 23:29 | 瀬戸内国際芸術祭2016