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瀬戸内国際芸術祭2013で建築をつくる(石井大五+フューチャースケープ)


by 石井大五+フューチャースケープ建築設計事務所

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「トイレの家」をご紹介します

瀬戸内国際芸術祭2013の伊吹島での会期は、7月20日から9月1日まで、8グループが参加します。
大岩オスカールさん、キム・テボンさん、関口恒男さん、豊福亮さん、みかんぐみさん、向井山朋子さん、ルナ・クリップさん、そして、僕です。
他の皆様の作品は、島で遭遇した際に、ご紹介したいと思いますが、まずは、僕の「トイレの家」から。芸術祭で島を訪れる方々のための公衆トイレで、恒久的な作品です。
「トイレの家」をご紹介します_e0331722_2303989.jpg
伊吹島の古い民家では、トイレは、大抵、母屋から分かれた水屋に置かれています。伊吹島では、水屋は、家にとっての周縁の空間なのです。
その話を聞いて感じたのは、母屋と水屋の関係は、どこか、四国本島と伊吹島、あるいは、大都市と離島の関係に似ているなということでした。
今、伊吹島は、観音寺からの船で本土とつながるだけとなり、四国、そして、日本にとっての周縁の場所となっています。しかし、遡れば、上方と船でつながり、上方の物資が行き交い、その頃の名残で、京言葉が残るほどの場所なのです。伊吹島は、かつては、周縁でなく、本土に依存しない、自立した小さな中心でした。
この「トイレの家」は、周縁だった空間を、伊吹島の中心に変え、そして、周縁となった伊吹島を世界の中心に変え、かつての記憶を取り戻そうというプロジェクトです。
「トイレの家」をご紹介します_e0331722_2334769.jpg
内部は、男性用トイレ、女性用+多目的トイレ、倉庫の3つの棟から成っています。いつも母屋からはじかれるトイレが、ここでは、一つに集まり、寄り添って、自分たちの家をつくります。
伊吹島の民家のように分棟ですが、集まって、一つの家型を描くと、周縁だった存在も、核としての力を持ち始めます。
「トイレの家」をご紹介します_e0331722_23223529.jpg
そこに、伊吹島固有の時間と、伊吹島を中心とした世界のつながりを重ね合わせました。

伊吹島の伝統的な行事である「島四国の日ー旧暦3月21日」、「夏祭りの日ー7月15日」、「秋祭りの日ー10月1日」、そして、「夏至」と「冬至」の日の「午前9時の太陽の方位」に合わせて、建築の中をスリットが通り抜けます。年に1回、その時間に、建築の中を一筋の光が通り、季節の訪れを知らせます。そうやって、伊吹島のアイデンティティーを浮かび上がらせるのです。

それとは別に、伊吹島から世界の6大陸州の主要都市、東京、ロンドン、ナイロビ、ニューヨーク、サンパウロ、シドニーに最短距離で向かう方向に、光の線が抜けて行きます。世界とのつながりを意識することで、かつて、上方とダイレクトにつながっていた伊吹島の矜持を取り戻すことを考えました。
「トイレの家」をご紹介します_e0331722_2384044.jpg
「トイレの家」をご紹介します_e0331722_2382597.jpg
そうやって切り取られた3つの棟の間に、路地が生まれ、それは、丁度、集落の路地につながって行きます。そして、各大便器ブースには、屋根に大きな開口部が空いています。そこから、光や雨が室内に落ちて行きますが、それは、丁度、伊吹島の民家が、雨水を利用するために地中に掘った井戸を、底から見上げる形となります。水を介して、伊吹島の家々の記憶とつながっています。
「トイレの家」をご紹介します_e0331722_23212588.jpg
「トイレの家」をご紹介します_e0331722_2323287.jpg
1月に急逝された伊吹島支所長、岩田さんに、昨年11月に初めてお会いした際、「ふつうに住民や来訪者が使いやすいだけのトイレでは困る。わざわざこの島に来なければ体験できないトイレをつくってほしい。」と言われました。保守的な細かい要望が出て来るのではないかと予想していたので、驚きましたが、これは、伊吹島が、かつて、上方とつながっていた時代の先進的な気風が、今も続いているのかもしれません。1月のプレゼの際に、喜んでいただいて、ほっとしました。岩田さんの思いにお応えするべく、他では体験できないトイレになるように、完成まで気合いを入れましょう。
by future-scape | 2013-04-20 00:05 | トイレの家 作品紹介